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1・8~52 事の原因

14:クリューセースが嘆願に赴く際の格好が記されている。本来頭に巻く髪紐を嘆願のため、黄金の王笏の上に付けてきた。髪紐はアポローンの後ろ盾のあることを強調している。

39:39~42行は、神への祈りの典型的形式である。(1)神の名を出して呼びかける (2)自らが行った業績など、要請の根拠を掲げる (3)請願。 5書114行にも同様の形をした祈りがある。

42:ここのdakruaはCunliffeの辞書では、dakuruon「嘆き」の複数対格ということだが、辞書には、dakru「涙」とdakuruon「嘆き」と、二語載っていて、どちらも複数対格は同じdakruaとなる。この二語の違いは、どちらかがaの部分にディガンマが付くというもののようである。

47:アポローンが憤慨を覚えつつオリュンポスからやって来る描写「夜の如くに行く」は、なにやら恐ろしげな雰囲気が漂う。豊かな表現力だ。

48:「アポローンは船から離れたところに座って」と訳されるが、「座って」弓を射たという意味ではなく、弓を射るためにそこに「位置取りをした」と解釈するらしい。

51:アポローンの放った矢とは人間たちの世界では疫病となって兵たちの命を奪った。61行目でloimos(疫病)と明記されるが、既に39行目にアポローンのことをsmintheus(鼠[疫病を意味する]の神)とクリューセースが呼んでいるところから暗示されている。

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