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2・1~47 ゼウス、夢の神を送る

3:ここのwsは、kenを伴わないで次行の接続詞timeesei(讃える)を目的節にとる。「アキレウスを(どのようにして)讃えようかと」

19:「眠り」にはambrosios(かぐわしい、甘い香りの)という形容詞が使われる。観念的な心地良さというものに対して、まるで実在しているかの如き五感になぞらえた表現である。このようにギリシア人は直接的な表現を好む。不思議と理解しやすいものである。注釈書によればambrosios(不滅の)の語源はbrotos(死ぬべき者)と関連があるらしい。「眠り」は人の活動を停止させる、「死」に非常に近いものと考えられ、神話においては眠りの神ヒュプノスと死の神タナトスは双子の兄弟である。(16書671行参照)

20:オネイロス神は老ネストールの姿を借りてアガメムノーンの夢枕に立ったわけだが、Kirk(Cambridge Univ)の注釈の通り、それはアガメムノーンに信じ込ませるのを目的に、彼が軍中で一番信頼するネストールの姿を利用したものである。また「(あなたにとって)自分はゼウスの使いとなる」というセリフ(26行目)でその正体をほのめかしている。

37:ここの指示代名詞Oは、アガメムノーンを示す男性単数主格で、動詞FEEの主語のようである。

42:アガメムノーンの身支度の様子が描写されているが、これらの服装は、物語の時代のものであることはあまりなく、「イーリアス」そのものが作られ、語られた当時のものであることが少なくない。Kirk(Cambridge Univ)の注釈はここで帯びるアガメムノーンの剣がミュケーナイ時代のものであることを示唆している。このような時代の違えた物の描写は服装に限らず、さまざまな道具においてもみられる。

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