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2・84~141 集会(1)集結時の喧騒・アガメムノーンの発言

84:ここのアオリスト分詞fowneesas(話すと)の主語は、直前のセリフがネストールのものなので、ネストールでいいのだろう。ただ王たちを束ねる者(poimeni laown)という形容は、アガメムノーンの方がふさわしく、またネストールに使われるケースは少ない。

87:50行目でアガメムノーンが命じた全軍の集結は、まだ完了しておらず、閣僚打ち合わせを挟んで場面は再び集結に駆けつける群衆を描写する。比喩を導き出す語eeute(~のように)以降、90行目までの動詞はいずれも現在形・現在完了形、たとえ話に用いられる現在形である。93行目の「噂」は、アガメムノーンの号令を伝令たちが伝えている様子を表現している(Kirkの注釈による)。人々はアガメムノーンの命に従い、ゼウスの神意で集まった。

96:ここで伝令が9人出てくる。登場する人物が9人いるというのは、イーリアスの中では、第8書253行目9人の勇者の登場、第24書252行目プリアモスは9人の息子を呼ぶ、などがある。伝令9名の名前は明らかではなく、「9」と言う数字により伝令がそれなりの人数居たということを意味するのであろう。

100:伝令たちはdiotrefeown basileeown(ゼウスに養われた王侯たち)の言葉を聴くようにと人々を鎮めたが、ここで笏杖を持って発言するのは代表のアガメムノーン一人である。anaが上方へすっくと立った様子を表し、esteeを効果的に修飾している。また、ここに出てきた笏の来歴は《由緒あるもの》の確認と思われる。来歴に登場する人物たちは、後世のさまざまな物語で劇的に描かれるが、ペロプス以下アガメムノーンまでの血縁関係に関しては聴衆が既知として、ここでは特にその関係について触れていない。Kirkの注釈(Cambridge Univ)参照。

123:eiは同行のetheloimen(欲するならば)のみならず、127行目までの動詞、easin(居たとして)、diakosmeetheimen(並んだとしたなら)、eloimetha(選び出したとしたら)にかかる。ちょっと長い前文であるが、124行目amfwの説明として125-126行があると考えれば、まとめやすい。

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