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2・681~785 船軍のカタログ(5)北部テッサリア地方-プティエー、ピュラケー、ペライ、メートーネー、トリッケー、オルメニオス、ギュルトーネー、キュポス、マグネーテス

694:ここで今は戦闘から身を引いているアキレウスが、いずれ出陣することがほのめかされる。イーリアスでは殆どの出来事が不意に起きることはない。多くは前もって聴衆に告知される。

724:別の神話であるピロクテーテースの持つヘーラクレースの弓の必要性について、明確に触れてはいないが、「彼らはじきにピロクテーテースのことを思い出すだろう」と、イーリアス後の物語をほのめかしている。

755:神々が誓いをたてる時、ステュクスの河水にかけて誓う。(14書271行目、15書37行目参照)ステュクスは地獄を取り巻いて流れる河で、その河水には毒性があると考えられていた。またティタレーシオスがステュクスから分かれた支流であるとして 、ティタレーシオスの清流が濁ったペーネイオスに混ざらないのはステュクスの恐ろしい誓いのせいであるという。Walter Leaf のコメンタリーに、河水に誓うのは、水は命にかかわるものであり、誓いはもとは厳しい試練という一種の毒であるとの説明がある。

767:「両馬をアポローンが養った」ので、パトロクロスの葬礼競技における戦車競争で、アポローンはこの馬たちを勝たせようとする 。(23書383行目参照)

773:ここのlaoiは明らかにアキレウス配下のミュルミドーン軍の兵士たちをいう。前行のlaownは、単にアガメムノーンの形容詞として用いられているにすぎない、一般のアカイア軍兵士を意味する。以降779行目までにある馬・戦車すべてアキレウスの配下のものをいう。

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2・645~680 船軍のカタログ(4)南東の島-クレーテー、ロドス他ドデカニサ諸島

658:biee Hrakleeieという良い回しは訳しにくいが、「ヘーラクレースの力のために」とでもなるのか。各注釈書に従い、慣用句で「剛勇のヘーラクレースのために」と理解した方が良いようだ。同じ用法が666行目にもある。

664:殺人を犯したものは、たいがいその地より追放される。リキュムニオスを殺したトレーポレモスも、その慣例に従ってロドスに移り住んだ。

665:ここのhoiに関して各注釈書は、人称代名詞の与格としている。動詞apeileesanがこれをとる。「彼に脅しをかけた」

671:ニーレウスは三回もここで連呼されるが、これっきりこのあと登場しない。三度の繰り返しは聴衆の注意をひいたであろう。それほど「美男である」ということが、古代のギリシア人にとって重視すべき価値観だったかもしれない。

676:岩波文庫(復刻版、平凡社ライブラリー)呉茂一訳「イーリアス」のこの箇所の略注で、「ニシュロス以下の四島はいずれもスポラデス郡島に属する」となっている。Walter Leafのコメンタリーでもスポラデスと書かれている。けれども、現代のギリシアの地図や旅行ガイドブック等では、スポラデス諸島は、サモス、イカリアまでで、以南のコス島ロドス島を含む島々は《ドデカニサ諸島》となっている。どこかの時代で或いは近代で、呼び名が変わったようである。dowdekaneesa(12の島々)と名づけられているが、14島と無数の小島から成る。

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