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3・15~75 ヘクトールに叱咤されるパリスの決断

16:ここでようやくこの戦の元凶パリスことアレクサンドロスの名前が登場する。パリスはこの段階ではまだ鎧を着ていない。弓の腕で有名な彼だが、このイーリアスでは通常、豹皮をまとった姿は戦闘用ではない。また弓、剣、二本の槍と、様々な武器を持っているが、この点もKirkの注釈(Cambridge Univ)など、弓と槍とを同時に所持する矛盾を指摘している。

35:この行のmin(彼を)は、pareias(頬を)と同格関係にあると Thomas D. Seymourのコメンタリーにある。彼=(彼の)頬、「蒼白さが彼(彼の頬)を捕らえた」でいいだろう。

58:パリスは一時、恐怖に捕らわれるが、長兄ヘクトールから厳しい叱咤激励を受け、メネラーオスとの一騎打ちに望む決心を固める。イーリアスに登場する人間たちは、常にこのように心を迷わせる。不安定な心を克服し、理想とする本質を取り戻すことが、特に王侯の身分の者には重要である。これについては、高津春繁著「ホメーロスの英雄叙事詩(岩波新書)」九・英雄の世界に詳しく書かれているが、どんなに血迷ったとしても最終的に改めさえすれば、その人の名誉は損なわれない。迷いは神が人間に与えたものであり、それについて人間に責任はないと考えられていたとある。

59:6書333行目に同じ。kataとhyuperは相反する意味を持つ。kata aisan「運命に従って」つまり「正当な」。hyuper aisan「運命を超えて」つまり「不当な」。

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