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4・73~126 アテーネー、パンダロスを唆す

75:hoion以下で例えられる、アテーネーがオリュンポスから地上へ降りていく様子は、迫力もあり、かつ神秘的な印象である。 Walter Leafの注釈によると、降臨したアテーネーの何を見て、人々が驚いたのかはよくわかっていないらしい。さらにThomas D. Seymourの注釈では、人々は驚いたが、アテーネーが地上に降りるとすぐに人の姿をとるので、女神と認識していないとある。

82:人々の二通りの推測が示される。essetai「(戦いと)なる」と、titheesi「(友好を)授ける」は、前者は未来形に対して後者は現在形であるが、これは未来を示す現在形で、直後に起きる出来事を示すものである。

105:aigos(山羊)は素材を表す属格で、toxon(弓)が山羊の角製であることを示している。Willcockの注釈では、106-11における弓作りについての情報は、事実というより詩的である、としている。また弓作りの経緯は、2書827行のアポローンから弓をもらった説明と異なっていることが書かれている。

106:honはaigos agrios(野生の山羊)を説明すると同時に、過去完了動詞bebleekeiの目的語である。(Thomas D. Seymourの注釈参照)

112:パンダロスは楯の陰で弓を張る。Kirkの注釈書(Cambridge Univ)では8書267行を例に出して、その間は無防備となるためその守りとしているとし、Thomas D. Seymourの注釈では、敵に弓の準備を見られないようにするためとある。どちらにしろ動詞schethonは3人称複数なので、楯を構えていたのはトロイア兵たちである。弓は使用するときまでは弦を張られなかったようだ。

126:「したがる・欲する」という意味の現在分詞meneainoonだが、主語はoistos(矢)である。パンダロスの放った矢が、まるで生き物のように飛び去っていく描写が興味深い。

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