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4・220~326 アガメムノーンの閲兵(イードメネウス・両アイアース・ネストール)

アガメムノーンはアカイア軍を見回り、檄を飛ばす。こういう際、決まって左から右へと行く(1書597行2書350行参照)。つまりはイードメネウスの右側に両アイアース、その右にネストール、その右にメネステウスとオデュッセウス、さらに右手にディオメーデースが並んでいた。3書の塔からの物見に続いて、主要登場人物の紹介を兼ねている。

223:
ouk an brizonta idois(あなたはきっと居眠りする彼を見なかったであろう)、ここで動詞はいきなり2人称単数になっている。1書の冒頭のようにムーサに呼びかけてるものと思われる。

235:pseudessi(嘘つきたちに)とは、誓いを破ったトロイア人らのことである。(Thomas D. Seymourの注釈参照)

254:この行のhoiは、土井晩翠訳を見る限り、人称代名詞三人称単数与格と読める。「メーリオネースは"彼(イードメネウス)のため"最後尾の隊列を励ましたてた」

275:アイアースらの率いる部隊の比喩が導入されている。動詞eiden(見る)は、279行のrigeesen(身震いする)、eelase(もたらす)とともに格言のアオリストであることがWillcock・Thomas D. Seymourの注釈に記述されている。「山羊飼いの男が物見やぐらから雲を見た時-その時はいつも身震いして家畜たちを洞窟へと連れて行く」 また276~278行、雲の挿入句の中の、ion kata pontonはerchomenon kata pontonの繰り返し、278行のagei(もたらす)以下はsun(伴う)と同意である(Thomas D. Seymourの注釈参照)。呉訳・松平訳ともに、このageiを「伴う」としている。

297:この時代の戦術として、ネストールは前方に戦車隊、後方に勇猛な歩兵団、そしてその間に弱い兵士たちを押し込め、強制的に戦わせる方法が記されている。ネストールは、馬が暴れてその歩兵たちの群を乱さないよう、抑えておく指示を戦車隊に出した。

306:この行で二つの単語が、次語母音のため語尾省略となっている。Thomas D. Seymourの注釈にもあるが、省略されているのはhetera(形容詞「他の」中性複数対格)と、 harmat(th)i(中性名詞単数与格「戦車」)である。この二語は同格ではない。harmat(th)iは位格とし、heteraは動詞hikeetai(掴む・届く)が対格をとるようである。「戦士が自分の戦車から、他(敵)の戦車へと届くのなら、そういった者は槍を伸ばすが良い」

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